私たちの夢
私たちの夢
「雪崩に遭ったら助からない。捜索は遺体探し」という日本の登山界の常識を変革したいと故福沢卓也、樋口和生と私の3人は雪崩事故防止研究会を設立した。「このままでは日本の南極観測隊から死者が出る。改革をやろう」。樋口と私は誓いあった。私は第49次南極観測隊セール・ロンダーネ山地地学調査地のフィールドアシスタントになり国立極地研究所に乗り込んだ。“抵抗勢力”の壁をぶち破るのは、予想以上にしんどかった。樋口に早く極地研に来てくれと頼むと、第50次南極観測隊の越冬隊フィールドアシスタントになった。私たちは改革を推し進めた。私は連続3年南極へ通い、装備とロジスティックの改革を成し遂げ極地研を離れた。樋口は2度の越冬を経験し、第57次南極観測隊の越冬隊長を務めた。今、南極観測を運営する重責を担っている。極地研にとどまっている樋口は、さらに変革を進めている。樋口も私も隊員を無事に日本へ連れて帰り、誇りに思う。
「雪崩から命を守る」。樋口と私の夢である。